

Fさんは入園してから数年は、いわゆる「問題行動」が続いた。
夜、眠らないのです。
大きな声で歌を歌う。
隣の老人が「うるさいね」と注意すると、「うるさいのはお前じゃ」と言い返す。
ときにはひどく興奮して、幻覚めいた症状さえ出てくる。
「お父さんが来とる、呼んできてくれー!」と怒鳴ったりするのです。
当然、同じ部屋の老人はもちろん、他の部屋からも苦情が出る。
なにしろ、夜問の物音は、廊下を伝わって老人ホーム中に響き渡るのだから。
こんなときにはまず、職員が他の老人に謝る。
そして、対応を考える。
睡眠薬だけは使いたくない。
私たちの経験では、どんなにその量を抑えても、よい効果よりは悪い効果のほうが多い。
ましてや、安易に使うと、生活破壊、さらには人間破壊に直結してしまう。
